マンガの話②
僕のジョバンニってマンガが面白い。
田舎で1人チェロを演奏する才能ある小学生鉄雄が、ある日難破船からの唯一の生き残りのハーフ日系人の少年郁未と出会って(恐らく)成長していく話。
穂積先生は式の前日やさよならソルシエなんかも読んでいて好きで、読む前から期待値は高かったけどやはり面白い。
人物への共感力というか、想像力がたくましいよね。
東京の大会で優勝しちゃうくらいには才能に恵まれ努力している小学生が他の子供から少し浮いてしまうのはある意味では当然で、鉄雄も自分が熱中している物と他の子が熱中している物が違うことに疎外感を感じていると。
例えば放課後みんながバスケをして遊んでるけど、突き指するから自分は出来ない、であるとか。
或いはみんなが夢中になっているゲームに自分は夢中になれない、であるとか。
こういうのって自分の小学生の時と比べてみても、わかる気はする。
俺は小学生の頃ドッジボールのチームに入っていて、そのチームは最高実績全国大会ベスト8程度にはガチだった。
みんなが入るというから自分も入ったけど、練習はキツいしめちゃくちゃ得意というわけではなかったのでさほど楽しくはなかった。
それとは別に合唱団にも入っていた。
その頃から音感はよかったので重宝はされたが、周りはみんな女子ばかり。
友達が熱中しているものはもっと別の物で、こちらも入ったは良いが楽しいとはあまり感じていなかったのを覚えている。
自分が得意な物と、皆が熱中している物が同じとは限らない。
今思えば小学生の頃、こういう若干の疎外感みたいなものを感じていたので、この鉄雄くんの気持ちは結構わかる。
彼はそれでもチェロが好きなので、1人で練習をするんですよ。
自分が憧れた、本来2人で弾くはずの曲を兄がLogicで打ち込んでくれた(ちゃんとソフトがLogicだとわかる描写に作者の取材の綿密さが伺えます)いかにも打ち込みのチェロ伴奏に合わせて。
でそこに郁未くんが登場すると。
難破船の事故に遭った時鉄雄のチェロが聞こえて呼ばれた気がしていたと。
そして郁未くんも一緒にチェロを始めて、2人は無二の親友になっていくと。
やっぱね、好きな物って共有したいのが人の性なんだよね。小学生ともなればなおのことそうだよね。
仲良くなるのも当たり前のことだよね。
いやー素晴らしい。これぞボーイミーツボーイ。
この展開こそ少年漫画であり、少女漫画。
関係ないけど先輩にラノベと普通の小説の違いって何ですかと聞いたことがあるんですけどね。
「ボーイミーツガールがあるかどうか」だと仰っておりましたよ。
例えばSFものなんかでも、ボーイミーツガールがあるものはラノベなんだと。
文体が軽いかどうかっていうのも一つの基準ではあるけど、ラノベの中にも軽くない文章だってたまにあるじゃない?
まああんまり読まないから知らないけどね。
多分この漫画を少年・少女漫画と思わせるのはボーイミーツボーイがあるからじゃないですかね。
(今ふと思ったけど青年誌の反義語ってなんぞ?レディコミ?)
そして最近の少女漫画はやはり、漫画という文化が娯楽であり商業である以上無視出来ないところのBL要素というやつをそこかしこににおわせてきますよね。
「僕のジョバンニ」でググると「僕のジョバンニ bl」って予測が出てくるくらいにはやはりその要素を敏感に感じ取る猛者達がいるようですよ。
全く人間の想像力ってのは本当に素晴らしいぜ。
郁未が鉄雄の想像以上の早さでチェロの腕前が上達していくことに鉄雄が動揺するところで1巻は終わります。
一生懸命打ち込んでる物を、あとから始めたやつが自分より才能あって追い越していくかもしれないってなった時、人ってきっと動揺するよね。
ここから彼らの友情がどう変化していくのか気になって仕方がないぜ。
最近ってわざわざ計算して単行本の最後に次の巻が読みたくなるような話の盛り上がりを持ってくるって言いますよね。重版出来で読んだ。
見事に出版社の策略にハマってしまっているぜ。
面白いので読んでみたら良いと思うぜ。
ところで最近の私は新しい音源の歌詞を作ろうと四苦八苦しているぜ。
早いところ完成させたいと思っているぜ。
色々頑張ってはいるので何かしら報告出来ることはそのうちするぜ。
そんじゃあまたの。