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昔好きだったというか、感銘を受けたバンドの映像をYouTubeで見たりすると、自分が当時とどう変わったかと言うのがよくわかる。
どんどんサウンド面を洗練させていくことを意識しているから、シンプルなアンサンブルを聞くと音を足したくなる。
昔好きだったバンドは、驚くくらい重なっている音が少ない。
自分は考えすぎていて、所謂こじらせという状況に陥っているのかとすら思う。実際こじらせているのかもしれない。
何かすごく俗っぽい言い方だな。
何年か前に「お前は一度良い音楽の追求とかいう迷いの森から出ろ」と言われたことがある。
音楽に良し悪しなんてなくて、好みでしかないよねって言われたこともある。
言ってることはわかる。けどそれは違う。
甲本ヒロトは言いました。
一番おいしい食べ物が一番売れてるものだとしたら、この世の中で一番おいしい食べ物はカップラーメンになってしまうと。
優れているかと、売れているかは必ずしも相関しない。
小説やマンガだって多分そうで、考えに考えて洗練させた重い文章が売れるとは限らない。
だけど言葉を尽くしたということに感銘を受ける人は絶対にいる。
そういう文化を愛でる心を僕は純粋に素晴らしいと思います。
音楽にだってそういう感覚があると信じています。
話は戻って、昔好きだった音楽が今はずいぶんシンプルに聞こえるという話だが、それは何で出てきたかというと、僕もずいぶん変わったんだなぁという風に言いたかったわけです。
佐藤秀峰先生が言ってました。
物語って言うのは、変化を綴るものなのだと。
確かにそうで、小説だろうが映画だろうが、何かの物語というのは必ず変化を描いているんだと思うんですよ。
そんでね、我々人類はみんな少しずつ変化していくものだと思うんですよ。
そしたら誰だってきっと物語になれるはずで、誰だって誰かのための楽しみになれるのではないか?
願わくば自分の変化が誰かにとって面白いものであればと思うし、誰かの変化を自分が楽しめればと思う。
だから僕の好きな人達には変化を恐れずにいて欲しいと思う。
僕はあなた方全ての変化を物語として楽しみたいんです。
それが所謂人生というやつで、本質的なエンターテイメントなんだと思っています。
変わることを恐れる必要なんて無い。
そう思いながら自分の信仰するものが根底から覆される危険性を感じるとどうしても物怖じしてしまうんだよなぁ。
全く人間って面白い生き物だネ!